どんくらい

俺の涙の量なんてたかが知れてるけど、ていうか俺が泣くことじゃないのかもしれないけど、今日もそれなりに泣いてしまった。





あれはいつだったっけなあ。
あんじゅさんと狸小路でばったり会って、すごい久しぶりで、そしたらあんじゅさんが「シンゴ、カツ丼食べに行こうぜ」って言ってきて、まあいいですよって二人でカツ丼食べに行った。その時結構1年ぶりくらいに会った気がするんだけど、あんじゅさんはあの日のカウンターアクションから何も変わってなかったのを覚えてる。

あの時はごちそうさまでした。


んで今日久しぶりにメールした。
「気をつけて行ってきてください」とだけ俺は送ったんだけど、割とすぐ返事がきた。あんじゅさんは、「またひとつバンドやめれない理由ができたよ」と返してきた。

あんじゅさんは、背負うんだろうなあと思った。そしてあの日のカウンターアクションのように、マイクに向かうのはかっこいいあんじゅさんなんだ。

俺は、またバッタリ会ったら、カツ丼食べに行きましょうと返した。


雨、本当にすごいね。広島も福岡も岩手も、北海道も、全部。
こんなの負けちゃうよ。雷もすごいし。なくなっちゃうよ。流されてしまうよ。そんなの怖いよ。

俺は何にもできない。何にもできないっていうか、情けないけど自分のことで今はいっぱいいっぱいだ。明日はどうかわからないけど、でもきっとそんな変わらない。
考えては消して、考えては消して、塗り替えて、それでも行き着く答えだってある。雨に流れた思いも、錆びてしまったことだってあるさ。

でも、それでも過ぎていく一日を重ねていった中で、少ないけれど、錆びないものも見つけたのだ俺は。
ダイヤモンドみたいにキラキラしてないけど、ボロボロだし泥だらけだし汚れは取れないままだけど、錆びないものも見つけたのだ。


それをどれくらい伝えれるかわからないし、伝えることではないのかもしれないし、ちょっとわからないけど、でもわかってほしいことではある。
俺だって心の中、ひとつやふたつじゃない。

ボーイズ ドント クライ

あとどんくらい、ドントクライって言いつづければいいんだ。少年よ、泣くなって。少年は泣かないって。

泣けよ。なあ、泣けよ思いっきり。かっこつけてんじゃねえよ、泣いてみろよ。泣くのはかっこいいことではないかもしれないけど泣かないのがかっこいいってのも違うんだよ。だったら泣けよ、たまには。わかってんのかよ。

ボーイズ ドント クライ

泣いてくれよ少年。そうなんだろ、ほんとは。あの日、ライブハウスに行ったときに全部知っちゃったんだろう。そして、失くしてしまったんだろう。わかってるよ俺には。俺には全部わかってるよ。


また会おう また会おう
また会おう また会おう

最後は音程なんてなくて、マイクも通さずにそれは最早メロディーのない叫びで、ステージの一番前で物凄い形相で、そうやってアコギ持って、そうやって信じて、そうやっていつもの緑のパーカー、革ジャンとか着て。

知っちゃったんだよね?



ドント暗い。でも明るいわけでは決してない。大丈夫だよわかってる。俺しかわかってなくても、俺はわかってるさ少年。泣かないでくれ。泣いてくれ。俺何にもできないけれど、頑張ってくれ、負けないでくれ。



さっき、信号待ってるとき車同士がぶつかって、ぶつかられた車が雨で滑ってこっちまできた。びっくりして、ほぼ動けなかったけど、誰もケガ人はいなかったからよかった。

もうこの雨の中、自転車を押す気力もなくなって、大通公園においてきた。

生きてるから、俺は今日も涙が出たし昨日も出たし怒ったり悲しくなったり情けなくなったり悔しくなったりごめんって思ったりありがとうって思ったりする。生きてるから、大好きな街を大嫌いになったりする。大好きだった道も、歩けなくなったりする。



boys don't cry.

大雨、涙まじりの笑顔で歩いてゆく。



明日は誰よりも盛大に、ハッピーに、コハさんにも届くように。



明日から俺は泣かないよ。
この俺が泣くわけないだろう。

俺はTHE BOYS&GIRLSのワタナベシンゴだからね。




ボーイズドントクライ。

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