ジャン、撃つなら僕を撃て

この前、東京と大阪でひとりでワンマンをやってきた。両日ともに、忘れたくても忘れられそうにない一日になった。下北沢シードシップに関しては、もう毎度ありがとうございますで。店長の土屋さんともゆっくりお話ができた。気持ちのある人、場所、大切にしたい。

大阪でワンマンというのは、ひとりでもバンドでもやったことがなくて、バンドでやるよりも先にひとりが先になった。とても素敵な場所にまた巡り会えて、まるでひな壇の上で歌ってるような凜とした気持ちでいた。終わった後に会場入り口付近で風子と一緒に物販をやってる時に、見にきてくれていたひとりの男の子が僕にこう言った。「最近バンド、あの、スタジオで曲作って、あの」と。緊張してるのかなんなのか、最初何を言いたいのかわからなかったが、どうやら「曲を作った」らしい。肩にかけていた自らのカバンに手を入れてるので、「もしかしてCDくれるの?」と聞くと、「いや、CDはないんです、CDはないんですけど、スタジオで携帯を置いてただ録音しただけの、へただけど、あの」と。僕は間髪入れずに「聞かせて」と言った。すると彼は「え、いいんですか?!!!この後時間ありますか!!!」と言ってきた。彼は、きっと、とにかく誰かに聞いて欲しかったんだと思う。僕と同じだ。というかなんだか、僕のようだった。ひとりでライブハウスにいって、自分もやりたいってなって下手くそなギターで下手くそな歌でガタガタのメロディーで必死にノートに書き連ねて、数少ない友達とスタジオで大きい音でやってみて、無敵だ、って思ってこれ誰かに聞いてほしいって。でも勇気はでなくて。でも聞いてほしくて。あの人にきいてほしくて、って。僕も彼と何も変わらない。「とりあえず、その辺にいて」と僕は告げた。ひと通り終わって楽屋に戻り、風子にお金の整理などを任せて、「ちょっと、歌を聞いてほしいって奴がいて待たせてるから聞いてくる」と告げて僕は外に出た。外に出ると、嬉しいことに待ってくれていたお客さんが数人いて、写真を撮ったりした。例の彼は少し離れた隅っこでひとり冷たい梅田の風に吹かれていた。そして、ついに梅田ムジカジャポニカの前に、僕と彼だけになる。僕が「ごめん待たせて。よし、聞かせて」というと、彼は「はい」と答え携帯を取り出した。iPhoneのボイスメモで録音したスタジオ音源。僕のやり方と全く一緒だ。「初めてつくった歌だし、ぼろぼろですが」と自信なさ気にいってハードルを下げやがったから、ハードルを上げ直してから聞かせてもらった。

「カノン」という曲だった。

明日世界が滅びてもなんちゃらかんちゃらという歌詞だった気がする。全部きいて、彼に携帯を返した。「サビの裏声って地声で出ないの?」と聞くと、「頑張ったら出るかもしれません」というから、「じゃあ頑張りなよ」と僕は言った。すると彼が「あ、うあ、はい、」なんて言うから、ちょっと凹ませちゃったかもしれないが、そんなの気にしてられっか。「また新しい歌できたら、聞かせてね。今日はありがとう、またライブ来てよ」というと、彼は「はい!」と答え、梅田駅の方に消えてった。

僕がばりばりの先輩風を吹かせたのは、そうでもしなきゃ、涙が出そうだったからだ。

下手くそで不器用で情けなくてどうしようもないその歌は、メロディーがあまりにも綺麗だったのだ。いや、きたないんだけど綺麗というか、何ていうか。初めて作った歌には思えないくらいの、メロディーラインだった。胸が熱くなった。風は冷たかった。
楽屋に戻ると、風子が物販のお金の整理をしてた。「どうでした?」というから、「最高だった」と返すと、「ははは」と風子は笑っていた。それから一緒に物販のお金の整理をした。

店長の伊藤さんに挨拶をしてムジカジャポニカを出て、風子と少しだけ打ち上げするかとなった。先月ディプロマの時に、ベランパレードのユリエちゃんと風子と3人で入った最高のお店に行くと、ちょうど後片付けしてるところで入れなかった。でも店員さん覚えててくれて、ニコッとしてくれて、それだけでなんかよかった。結局、大きい通りに面したどこにでもあるチェーン店に入り2人で2.3杯ほど飲んで、すぐそこの交差点でじゃあまた来週なと別れた。翌朝、空港に向かうときに通った商店街で、バックホーンの新曲が流れていた。


僕は札幌に帰った。


いつも札幌を出て、札幌に帰る。当たり前だ、住んでるんだから。だがはっきり言ってこの街は、全部が遠い。何をするにも、何を言うにも、何を見るにも、全部が遠い。葛藤は尽きないし、やがて後悔に繋がっていく可能性があるのが悩ましい。まあでもそれは、どこもそうか。今更遅いよなってことは、どこに住んでてもたくさんだよなあ。あの時僕が歌えてれば、もしかしたら。あの時僕がもっと優しくなれていたら、もしかしたら。

この街の3月はまだ、冬。
あいつにも見せたかった。


それでも僕らは、止まらない。
5月16日東京、5月18日大阪、5月24日札幌 、
「少年少女のケモノ道」と題して、ワンマンツアー3箇所で開催することを決めた。ツアー、旅。3箇所だけだけど、僕らにとってはあまりにも危険でスリリングで大げさなほどドキドキする、立派なツアーだ。タイトルの通り、そんな3本。僕らはイチからまた歩き出す。



2015年4月にビクターのスピードスターレコーズから「バックグラウンドミュージック」というアルバムを出してメジャーデビューした。それからの活動もメジャーデビューする前と何ら変わらずに、僕ら主導で活動させてくれていた。本当に僕らは素晴らしい人に巡り合えたの。僕らを見つけてくれたボスのことが大好き。オシャレでかっこよくて男らしくて頭よくてイケメンで楽しくてしっかりしてて。何度も何度もメールしたり電話したり飲んだり話したり。きつかった時も、辛かった時も、いつもボスは冷静に言葉をくれた。時に熱くなった言葉もくれた。


でも、会いたい時に会えないのが、もどかしかった。東京と札幌は、やっぱ遠かった。電波に乗ることはできても、越えることは簡単ではないんだな。恋人かよって感じだけど、もうこれは、恋人だ。結婚を前提にお付き合いしようって、そういう話だったんだ。

この前、久しぶりに渋谷で5人で集まってお話をした。メンバーと、ボスの、5人だけで。わかりやすく恋人の例えでいうと、そこで 、「俺たちさ、別れなきゃ」という話になったの。「そうですね、さみしいけど、でも最高の日々でしたね。」と。わかりやすく例えて言うと、そういう話をした。ていうか、実際も割とそういう感じだった。僕らはそういう、素晴らしい関係だったから。

僕は、あのレーベルも、あのレーベルにいるアーティストも、十何年前から大好きだ。そんな素晴らしい場所で、好きなように変わらずに音楽をやれていたことを幸せに思うし誇りに思う。いいだろ。

わかりにくい?
もう仕方ないなあ、何回も言わすなよ、つまり僕らはビクターのスピードスターレコーズ所属のアーティストでは、なくなったってことよ。


だけど、何にも変わらないのだ。だって、メジャーにいた時もずーっと同じようにやってきた。言い方ちょっと変だけど、ほんとにメジャー?っていうような活動をしてこれたのはそれが僕らのやり方だったし、それを僕らのボスがわかってくれていたから。そしてきっとそれは、お客さんが一番わかってくれてるはずだ。だから、大丈夫なのだ。ほんとにメジャーだったんだもん。

もし、「メジャーから離れたからやっとボイガル好きに動けるね、メジャー離れて正解だよ!」とか言ってくる人がいたら、僕多分、めっちゃ怒っちゃうかも。あんたに何がわかるんだって、殴りかかっちゃうかも。大好きな人のことをああだこうだ言われたら、我慢できそうもないや。


今これを読んでる僕らのことを好きな人、どうか、盛大な拍手をお願いします。どうしようもないTHE BOYS&GIRLSをガラガラの下北沢でたまたま見つけてくれたボスと、「ちょっとご飯食べていきなよ、ていうか少しの間泊まっていきなよ」と迎えてくれたビクター・スピードスターレコーズに、盛大な拍手をお願いします。

きっとこれからも素晴らしいアーティストと音楽がじゃんじゃん出てくるスピードスターに、十何年前と同じようにドキドキする。








僕らは止まらない。
新たに立ち上がったTHE BONSAI RECORDSから、ライブ音源2曲入りの無料サンプラーを配布開始する。ライブに来て、貰ってくださいね。よろしくね。

そして、ワンマン。絶対来てください。
終わるわけないもん。終われるわけないもん。まだ何にもできてないもん。何にもできてなくはないと思うけど、したいことがたくさんあるもん。全部できるなんて思ってないけど、全部してみようとは思ってるもん。




ていうか、こんなこと書いて、大丈夫なんだべか。大丈夫か。この前ラジオでも言ったし。
言わなくてもいいことかもしれないけど、言えた方がいいことだと思うし、知らなくてもいいことかもしれないけど、知れた方がいいことだよね、きっと。ずっとそうやってやってきたし、今年は特にそうやってやりたいって、決めたんだもん。



言葉には思いを、思いには言葉を。です。



さて、そろそろ起きるか。今日もやることが、たくさんある。ひとつずつ、落ち着いて、慌てずに、全部が君に繋がるように、うまいことやるから、シンゴさんに任せて。


コメント

  1. 正直驚きましたが、ありのままのボイガルをそのままで良いって言ってくれる出会いがあって良かったですね(*≧∀≦*)
    言葉にしてくれ、歌い続けてくれて
    ありがと!!
    無料サンプラー欲しい!
    シンゴ君が言うように札幌は遠いね(笑)
    行けるライブ見つけるからね!サンプラー楽しみにしてます(*≧∀≦*)ワンマンも!

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  2. 頼もしい。
    シンゴさんに任せた。

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  3. シンゴさんに話しかけたその男の子みたいに、がむしゃらにバンドをやって、誰かにその音楽を聴いてほしいと言うのは、簡単そうに聞こえるけどきっと勇気がいることだと思うのですごいなぁと思ったし私もその方の音楽に興味が湧きました。

    メジャーでもインディーズでも関係なく突き進むボイガルにをこれからも応援しています。
    ライブ情報も新曲も期待しながらずっと待ってます。

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  4. どっちになろうとも、絶対大丈夫!と思えるのは、ボイガルだからなのかなーと!
    春は出会いと別れの季節ですもんね。
    私も、今の仕事を辞めて、いわゆるメジャーじゃない人生を送ってみようと思ってます。
    全然怖くないし、むしろワクワクしてます。
    ずっと、同じ場所で足踏みしていたけど、やっと一歩踏み出す勇気が出ました。
    私は、変わり続けます。変わらないでいるために。
    ボイガルにもそうであってほしいなぁ、、!
    ラジオでのワンマン発表、また北海道だけかなって思っていたら(笑)
    東京でもやるということで、聴いてたモスバーガーでちょびっと泣いて喜びました(笑)
    絶対行きます!サンプラー残ってるかなー(笑)

    一昨年の春に、バックグラウンドミュージックを聴いて、背中を押してもらえました。
    また、前に進める歌を聴けるのを楽しみにしてます。

    でも、無理はしないで、お体には気をつけてください☺︎
    私も、もう一踏ん張りします◎



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  5. ひゃくさい▷2017年3月8日 11:13

    3月、ボイガルの覚悟が表れているような怒涛のスケジュールですが、無理だけはせず闘って来てください(^^)
    更にカッコ良くなって戻って来てくれることを楽しみに待っています。

    また1から、全てはここからですね!
    シンゴさんに任せました◎

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  6. 東京、大阪でのひとりワンマン、お疲れ様でした。シンゴさんありがとうございます。以前、雨の下北できいた曲のタイトルがずっとわからなくて気になっていたら、その曲が「ノンフィクションの約束」だとようやく知ることができて、それもこれもたくさんの瞬間たちが嬉しい1日1日でした。シンゴさんが変わらずに歌っていてくれるから、今までも、きっとこれからもあたしは聴きにいってしまうんだと思います。
    5月、3箇所でのワンマン、距離を飛び越えた先でまた会えますように。信じてるし、そっちは任せますので。安心して大暴れしてください。
    そしてボイガルの音を盤というカタチであたしの住む街にも届けてくれたビクター・スピードスターレコーズ、月並みな言葉ですが本当にありがとうございました!

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  7. 私はビクターさんのおかげでボイガルを知ることが出来ました。感謝の気持ちしかないです。

    ワンマン、とても行きたいけど、行けません。
    ボイガルのワンマン、一度も行ったことがありません。行きたいです。
    シンゴさんを信じてますね。よろしくお願いします( ´ ▽ ` )

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  8. ボイガルがボイガルのためにボイガルでいれるように。私はライブに行って、CDを買って、グッズを買って、ツイートをリツイートして。私ができることをここでして応援し続けます。
    シンゴさんの歌声が全世界に届きますように。
    北海道というすでに外国からしたら東京までの距離ですら遠くに感じますね。でも、でも、

    …これからも札幌にいて欲しいです。

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  9. ここも色々な事が遠いよ、でも遠い分想いや力に変わる事もあるって信じてます。
    別海から応援してます!!

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  10. 任せたよ、シンゴさん。
    何の不安もないよ、楽しみしか。

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  11. シンゴさんに任せました!!
    ボイガルの音楽を受け取る側は任せて下さい。
    ドキドキとワクワクでいっぱいだ!!

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  12. ボイガルが好きだ。ビクターのアーティストとしてボイガルを知りました。
    メジャーだったから知れました。ありがとう。

    メジャーアーティストとかインディーズとか関係ないです。
    ボイガルがこれからも歌い続けて、ライブし続けて。
    声を聞かせて。

    サンプラー手に入れたい。4月18日まで残ってますように。

    シンゴさんに任せた!

    ライブいっぱい行けるように頑張るはんで。

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  13. シンゴさんに任せた!

    大阪行きます!

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  14. ほっちゃん2017年3月10日 11:02

    札幌と東京って遠いみたいですね。そう簡単には帰れない。でも帰札する時「ボイガルのいる大好きなあの街に帰れる。」っていつもワクワクします。再来週もその先もそうでありたいですね。

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  15. 「言葉には思いを、思いには言葉を。」何度聞いても素敵な言葉です。シンゴ君のたくさんの思いやこれまでの出来事、そしてこれからの事、知れて良かった。こうやって言葉にして残してくれて本当に良かった。私にとって札幌は遠い街だけど、こうやってシンゴ君の言葉や思いを近くで感じられるのはやっぱり嬉しい。シンゴ君が私達に繋げてくれるって、任せろって、そう言うんだから私ドキドキわくわくしながら待ってます。…シンゴ君ありがとう。

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  16. シンゴくんに話しかけた男の子の話も、ビクターの話もあったかい、いいね。
    一昨日のハルバンでのライブを何度も思い返してます。家に帰ってきて明日9時からのバイトに備えて気持ち切り替えて、、、
    ずっとライブ見てたかったです〜〜
    明日からまた頑張らなくちゃ。
    私ボイガル好きでよかった!知っててよかった!友達も好きになってくれた!
    またライブ行きます!次いつかわかんないけど、行ける時は絶対行くから!
    また絶好調のライブお願いします!
    ぐちゃぐちゃの文章でごめんなさい!

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